▲体に触る感覚に慣らすためには十分な練習が必要です。
飼い主さんから「犬の足を拭こうとすると、唸って拭かせないんです」という相談を受けることがあります。他にも、「体をなでようとすると噛み付いてくるんです」とか、「目やにをとってあげたいけど噛み付くのでできません」といったものもあります。
でも大前提として覚えておいてほしいのですが、体を触らせない犬たちって結構多いんですよ。飼い主さんはそろって、そんな犬たちのことを「わがままで悪いコ」という見方をしてしまいがちですが、ちょっと犬よりに視点を変えてみましょう。
犬同士の会話の中には、体を強く拘束するという会話はありません。少し接触しては離れたり、自分からくっついてって、また自分から距離を置いたりと、距離間をうまく使って会話の道具としています。ですから、人が当たり前だと思っている体を拭かれるという行為も、その「意味」がわからない犬にとっては、「何をするんだ!」とびっくりすることになってしまうのです。しかも犬は人よりもずっと感受性が強く、体に接触するものに対して敏感に反応します。足を拭くという、少し強く体に触る感覚に慣らすためには十分な練習が必要なのです。
体に触る練習は、より小さい時期から継続して行うと、犬に負担をかけずに理解させることができます。子犬がお母さん犬から生まれた時から人の手で扱い、まだ目が開かない時期からよく人の手で触ったり、体を拭いたりして、手の感覚に慣れさせていきます。さらに新しい家族のもとに移動する生後2ヶ月前後になっても、同じように続けます。この頃になると、子犬はもっと自由に動き回りたいという欲求も強くなっていますから、やさしく抱っこしてじっとしていると「いいこと」があることを、ドッグフードなどを上手に使って教えていきましょう。でも上手にできるようになったと思って、安心してやめてしまってはいけません。生後5〜6ヶ月位になると、ますます体の感覚が敏感になりますので、毎日いろいろなことを通して欠かさず練習させてください。
さらに!です。私はできるようになったから大丈夫!とお母さん一人が安心しないでください。ご家族の皆さんが全員練習しないと、特定の人にしか触らせなくなるケースも多いのです。やさしく握れない小さな子供さんや、ごっつい手のお父さんにも練習してもらう必要があります。子犬が人から触られることになれ、自信を持つようになったら、今度は他人とも練習することができます。
しかし、すでにあなたの犬が成犬で、人から触られることに抵抗を示して、唸ったり、噛み付く真似をするようになってしまっていたら、専門家にご相談ください。その犬にあったステップの踏み方で慣れさせていく練習をしていきます。慣れさせるステップを急ぎすぎると、犬はますます警戒心を高めたり、いやなものとして受け取ったりするようになりますので、慎重にする必要があります。
でも、どんな犬でも練習を重ねると人から触られたり、なでられたりすることができるようになりますので、急がずゆっくりと、犬が受け入れるサインを確認しながら練習していきましょう。
もともとは野生の動物から、人との暮らしをはじめる過程を経て、彼らは犬として生まれ、生活をしています。どんな犬でも、人との暮らしを「勉強する」機会がなくては、人とは暮らしていけません。それに、犬を抱きしめたり、頬ずりしたり、キスをしたりする幸せがないなんて、犬と暮らす楽しみの半分も奪われたようなものですからね。
宮武先生のオフシャルホームページ[Good Boy Heart]
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