▲「備えあれば」は、毎日の犬のしつけから!
地震後に最もご相談が多かったのは、ワンちゃんが飼い主さんのそばを離れなくなり、後をついて回るようになった、ということ。飼い主さんの姿を探したり、姿が見えないと落ち着かなくなるというのです。地震後に数多くの余震が続いたことが、犬の不安を増長させたのかもしれません。また、クレートの中に入りたがらなくなったり、クレート内にいる時に吠えたりするようになったケースもありました。きっと飼い主さんが留守中の際に地震が発生。家財道具が倒れたりする様子を、クレートの中で体験したのでしょう。そのためクレートの中にいる=怖いことと結びついてしまったのですね。また、屋外で飼育されている場合は、通常は飛ばないような柵を飛び越えて、庭から逃げ出して行方不明になったり、怪我をして帰宅したワンちゃんも数多くいたようです。
野生の動物であれば、もっと事前にいろいろなことを察知したり、逃げたり、行動を起こすことができます。しかし、人に飼われるようになった動物は直感的な感覚が鈍化。そのため、閉じ込められて逃げられなかったり、パニックを起こしてしまったりと、不安な経験をしてしまう結果になってしまうのです。ワンちゃんの性格へも影響してしまうようで、ひとりでいる時は自信なく振舞うようなワンちゃんや、飼い主さんにべったりという生活習慣を送っていたワンちゃんほど、立直りにも時間がかかっているようです。

さて、地震はとても衝撃的な体験ですが、いずれにしても嫌な体験をしてしまったら、良い体験で帳消ししていくしかありません。クレートの中を嫌がるようになってしまったワンちゃんは、クレートの形状を新しくして、再びはじめからクレートトレーニングをすることもその改善を早く進めてくれます。色が変わるだけでも、うまくいく場合もあります。また、飼い主さんから離れなくなってしまったワンちゃんは、飼い主さんが普段通りに落ち着いて生活をしてあげてください。ワンちゃんの態度によって、飼い主さんが不安がる様子を見せると、この相互不安作用はますます強いものになってしまうからです。ワンちゃんはいつも飼い主さんの状態を見ています。「大丈夫だよ」と、どっしり構えている飼い主さんだとワンちゃんも安心して過ごせるでしょう。

福岡西方沖地震では、一部のワンちゃんが住みなれた土地を離れて、仮設の住居や滞在先にとどまらなければならない生活を続けています。慣れない場所で人と同様に、犬達も大変な生活を送っているのです。慣れない場所にいる時でも、クレートトレーニングができているとストレスが少なくなるのになあ、と感じさせられることもありました。前回ご紹介したクレートトレーニング、とっても重要な練習なんですよ。うちの犬には必要ないと思っている皆さんも、何が起こるかわかりません。どんなことが起こっても、犬がストレスに強く対応できるように、本当の「備えあれば」は毎日の犬のしつけにあるのかもしれません。

宮武先生のオフシャルホームページ[Good Boy Heart]
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