▲毎日のお散歩を心待ちにしています。
飼い主さんとインストラクターとしての私の会話です。

【ケース1】
私:「お母さん、ミミちゃんの社会化学習のために、もう少しお散歩の時間を増やしてもらえませんか?」
飼い主さん:「そう思うんですけどね。忙しくって…。なかなかねえ…」

【ケース2】
私:「お母さん、トムくんとのお家でのボール遊びの時間をもう少し増やしてもらえませんか? 遊び不足のようですよ。」
飼い主さん:「いつも帰宅するのが遅いのでね。これでも結構遊んでいるほうだと思うんですけど。なかなか時間がないんですよ」

【ケース3】
私:「お休みの日にはドッグランに連れて行って、他のワンちゃんと遊ばせてあげたらどうですか? クウちゃんだったら、犬との遊びがごほうびになりますよ。」
飼い主さん:「土日はすることが多くって。そこまでは、なかなかねえ…。」
もうお気づきですね。この「なかなかねえ…」は、私が飼い主さんに伝える、犬の成長のためにやっていただきたいことや、犬たちがのぞんでいる飼い主さんへの要望をうまく交わされてしまう言葉なんです。飼い主さんたちはみなさん本当にお忙しい毎日を送っていらっしゃるようです。犬とゆったりと過ごすような休日もなく、会社で働く毎日は疲れ果てての帰宅。帰宅した後にいくお散歩は最後の力を振り絞ってなんとか出掛けているというのが実状のようです。帰宅したらわがワンコには「ああ、オポ、私を癒してよ!」という気持ちが先立つことでしょう。ところが犬たちは、本当に長いお留守番を文句もいわず(たまに文句を言いたい犬の場合は、破壊行動や吠え行動で発散していますけど)おとなしく耐えて… 飼い主さんの帰りを今か今かと待っています。日本の犬たちほど、部屋の中での長い留守番をしている犬もいないのではないでしょうか? もともと、日本では、庭で犬を飼う生活をしていました。そのためか、犬はひとりで放っておいても時間がつぶせるもの、という誤解を受けていることも多いようです。昭和初期時代の良き時代に、犬たちがひとりで時間がつぶせたのは、放し飼いが一般的であったり、庭の敷地の中で穴をほったり、虫を追ったりしてひとりで楽しむ方法を身につけていたからでしょう。

現代の犬たちは長い留守番中に部屋の中をかじることも許されず、吠えることも許されず、ひたすら「待つ」犬たちなのです。だからこそ、毎日のお散歩や休日の飼い主さんとの外出を心待ちにしているはずです。だって、犬たちは飼い主さんとの時間を心から楽しんでくれますよね。いつも私達に笑顔を向けてくれます。それだけのために私達は犬と暮らしているのかもしれませんよね。その愛くるしい笑顔が、我慢だらけの顔になってはいませんか? 「ああ、この子はなんだか満たされないんだなあ〜」という表情に出会う度に、満たされないのは飼い主さんとの楽しい時間が足りないんだと訴えるような目で私を見つめます。
そこで、犬語通訳者であるインストラクターの私が「わかったよ、じゃあ、お母さんに言ってあげるからね」とご提案するのが、犬との楽しい時間の作り方です。「なかなかねえ」の言葉に負けないように、犬の笑顔を思い出していただくために、また、犬の成長する姿を見るという飼い主にしか与えられていないごほうびを飼い主さんが見失ってしまわれないように、飼い主さんとの交渉の毎日はこれからも続きます。
でも、きっと飼い主さんは足元にうずくまって寝ているかわいい我が子のメッセージをいつか受け取ってくれるでしょう。犬たちはいつでも、「お散歩いこうか?」の言葉を待っていますよ。
宮武先生のオフシャルホームページ[Good Boy Heart]
http://www.goodboyheart.com/
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