▲オポはこんなに可愛いのに・・・
子供の手を引いているお母さんと遭遇しました。手を引きながらオポと私の方に近付いて来ようとしています。ところが、子供の腰がちょっと後ろに引いて見えます。大きな犬に会ったことがないのかな。オポに慣らそうとしているのかもしれないな、と思いつつ様子をうかがっていました。かすかにお母さんの声が聞こえてきます。「そんなに言うことを聞かないなら、大きなワンちゃんのところにつれていっちゃうよ」。
ちょっと待って。ということは、大きなワンちゃんであるオポは、その子にとっては大きくて怖いワンちゃんという罰なんですね。飼い主としては、かなりショックを受けました。吠えているわけでもなく、興奮しているわけでもなく、ただそこにいるというだけのオポが罰だなんて。
「私の母親はそうは言わなかったなぁー」と、私の子供時代を回想してしまいました。

私が小学生の頃、巣から落ちたスズメを拾い育てたことがあります。餌の与え方から接し方まで教えてくれたのは母でした。ピピと名付けられたそのスズメを母はよく庭で遊ばせていました。ある日、学校から帰宅するとピピがいません。母によると、自宅の庭でピピを野生のスズメと遊ばせている最中にほうきが倒れ、びっくりしてみんな飛び立ってしまい、その時ピピも一緒に飛び立ったとのことでした。外を見るとピピは電線に他のスズメと並んでとまっています。「大好きなトウモロコシを見せると飛んでくるはずだから」とあわてた様子もなくトウモロコシを仕込んでいるような母でした。予想通り、ゆでたトウモロコシを降るとピピが飛んできてトウモロコシにとまったのです。
また、庭の木にヘビが出てきて私が怖がっていると、「怖くないのよ。蛇はお話がわかるから早くおうちに帰りなさいと声をかけてあげるといなくなるからね」と教えられました。声をかけてしばらくして、おそるおそる庭を見に行くと、本当にヘビはいなくなっています。田舎暮らしをはじめた最近は、よくヘビに出会うことがありますが、あいさつの言葉をかけることがあっても怖いという気持ちにはなりません。家に飛び込んできたセキセイインコを飼っていた時には、最期の時にインコが立てなくなり床で羽をふるわせていると、「あなたに抱いてほしいといっているのよ」と、私の手の中にインコをいれてくれました。ほんの数十秒で私の手の中でインコは生涯を終えました。

はじめて家に子犬を迎えた時には、抱っこする私の腕の中で落ち着かない子犬を母が抱き上げるととたんに落ち着いてしまい、「お母さんってスゴイんだ!」と尊敬したものです。室内で飼育したその子犬が家具をかじったり、排泄を失敗することがあっても体罰を与えることはなく、根気強く教える姿をみせてくれました。その子犬が死にかけて食べ物を受け付けなくなり私が泣いていた時には、「これを食べれば大丈夫」と母手作りのレバーの水煮で子犬はすっかり元気になったのも奇跡的でした。動物のことなら母に聞けば大丈夫という信頼があり、幼いころから生き物に関心の高かったのは間違いなく母の影響によるものです。

「とてもいい本なのよ」と差し出してくれたのは野生のエルザでした。動物との心の交流を特別なものではなく生活の一部として取り入れ生活を豊かにしてくれたことは、子供の私にとっても豊かさのひとつとなったのです。親の動物との関わりは子供たちに強い影響を与えます。さらに、その次の子供たちにも続いていきます。動物、特に身近な動物である犬との関わりは、その豊かさを知ることが私たちの受け継がれるべき財産であってほしいですね。ひとりが気付けば、次に広がっていきます。子供たちの教育も大切ですが、まずは大人が気付くチャンスをもつこと。犬の問題となる行動も気付きのチャンスのひとつととらえると感謝の気持ちが生まれてきませんか。
宮武先生のオフシャルホームページ[Good Boy Heart]
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