▲目指せお兄ちゃん、お姉ちゃん!
少子化の進む現代の日本。子どもたちもひとりっこが多くなっているのでしょうか。昔は兄弟が6人とか7人とかいっても驚かなかった時代があったらしいのですが、私たちの子ども時代には兄弟といえば2〜3人といったものでした。もちろん、ひとりっこも決して珍しくありませんでした。
その背景を受けてか、犬たちの世界でも都会では「ひとりっこ」が当たり前のようになってきています。そのため1歳や2歳といった大人に近づく年齢になっても、他の犬と深い関係作りを経験しない犬が多いようです。同年代の犬たちとは公園などで、触れ合ったり遊んだりするものの、年代がはなれると関係作りが難しくなるせいか、吠えたり威嚇するなどの行動をとってしまい、そのせいか飼い主さんも他の犬に近づけることに抵抗を感じられるのかもしれません。吠える犬は、悪い犬という簡単な判断を下されることが多くありますからね。犬にとっても年齢を超えた付き合いができない社会になりつつあるようです。

犬は3歳を迎えた時に、大人の犬への扉が開くといえるでしょう。ということは、3歳を超えた犬にとって2歳以下の年齢の若い犬たちは社会的に一線を引く関係になります。逆に若い犬からみれば、3歳を超える犬は「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と呼ぶに値する立場になっているわけです。ところが、この大人の犬たちの中には、子犬が「おにいちゃーん」と寄ってきて自己表現をしようとしても威嚇して遠ざけたり、無視をしたりして相手をしてあげようとしない犬が増えてきました。子犬の方はなんとか大人の群れの中に入ろうと必死にアピールするのですが、ますます遠ざけられるばかりです。積極的に群れに入ろうとする子犬は社会的な発達に関心が高く、上手に成長すれば成犬になった時に他の子犬を受け入れる力を持つようになります。でも子犬時代にうまく成犬に受け入れられないと社会的な関係を結ぶという能力を育てるチャンスを失ってしまい、子犬との関係作りには強いフラストレーションを抱くようになるでしょう。

「お兄ちゃん、お姉ちゃん」と呼ばれることを受け入れ、お兄ちゃん、お姉ちゃんらしく行動できる犬たちをみていると、その子犬たちのことを教育的に指導するだけでなく、子犬をよく守り周囲への配慮も欠かしていないことがわかります。弱者を守るためには自分の行動に自信を持ち、また自己抑制的であることが要求されます。また子犬の相手にはかなりのエネルギーを消耗しているようです。人間も同じように家族を構成する動物ですから、育てるという役割を担うと思えば、その大変さはわかりやすいですね。自分の欲しいものへの欲求だけで生きるのではなく、与えるものが生まれるとそれを与えることが自然な欲求として生まれてきます。犬の自己成長とは本当に奥が深いものです。

よく、「どうやったらお兄ちゃんらしくなるんでしょうか」と質問されます。
「子犬を受け入れないのは個性ではないか」といわれる方もいらっしゃいます。もちろん、どんな子犬とでも群れを形成するわけではないですし、関係を結ぶわけではありません。群れというからには、飼い主さんが受け入れようとしない犬は受け入れの対象にはなりません。でも、犬である限り、弱者の面倒を見る力というのは備わっていて欲しいと思います。犬の環境についていうと、なんでも『やってもらうことが当たり前』の環境の中では「お兄ちゃん犬」は育てられません。特定の犬種の中には、長い歴史の中で『やってもらうことが当たり前』が身についてしまった犬もいます。そういう犬にこそ、犬の本当の力を取り戻させるために、「お兄ちゃん犬」「お姉ちゃん犬」を目指して欲しいのです。犬は人に劣らぬほど、豊かな精神をもつ動物です。豊かな精神性を開かせた犬たちの充実した感覚をたくさんの犬が得られることを願っています。

宮武先生のオフシャルホームページ[Good Boy Heart]
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